金魚花火


ドアの窓に黒い影が映り、思わず目をつぶる…くらいからはっきりと姿は見えない…、ガラガラッ…っと開く音が聞こえた。



「やッ…!!」



耳をふさぐが、さっきの足音はまだきこえていた…そしてすぐ側で…ピタッと止まった。



やだ…怖い…助けて…。



頭の中にフラッシュバックのようによぎった中学生の時の記憶…知らない男の人たちに囲まれて…――――――…そして…――――――

突然、腕を掴まれた。

恐怖心が一気に膨らんだ。視界がゆがんで、頬を伝って零れおちていく雫。



「いやぁぁァァ――――ッ!!!!」



今の私に精いっぱいの叫び声は…いつもの声と比べ物にならないくらい、とてもとても小さな声だった。



「アンタ…この間の…保健室の??」



耳に届いた声。



どこかで聞いたことのある…ような…??



そっと目を開いて上を見る。

少し暗闇に慣れた目が見たのは…


神谷…柚…