金魚花火


「去年の文化祭の資料だから、探しといてな」
「…はい…」



無理やり笑顔を作って手を振りながら先生を見送る。

内心すっごいガタガタだ。

できたら誰か一緒に誘っていきたいんだけど…恵南は部活、先生は…無理、成実は…なんか気まずいし…。


「…大丈夫か?」
「なんとか…ね。」



ソファ-に座ってため息をつく。

机の上に置いてあった袋から飴を2個取って、1個を成実に、もう1個を口の中に入れた。



「確かあれだよな。あの…幽―――」
「ぁぁあアアァァッ!!!」



耳をふさぐ、その単語は今聴きたくなかった。

叫びながら少しだけ考えてみた。



これからできたら特別棟まで一緒についてってくれない??



そう言おうとすればいえたのに…なんで言えないんだろう。…って。