金魚花火



「え、呼び捨てッ??」
「うん…。」


5階にある教室に向かう途中、さっきの事をさっそく相談中。恵南はビックリした顔をしながら楽しそうに聞いていた。


「いきなりだったからすごいビックリしたの。」
「そりゃ…ビックリするよね~。…成実だもんね~…。」


うんうん、と頷く。

そう、成実だったから特にビックリしたんだ。
中学からずっと…下の名前で呼んでッて言っても、


『え~? 花田のほうが呼びやすいじゃん。』


…て言って、一度も呼んでくれたことはなかった。
けどさっきのは…何だったんだろう??


「ま、気にしなくっても大丈夫でしょう!!」
「そうだよね…。」
「夢だったのかもしれないしッ★」
「そだそだッ!!」


恵南…絶対夢じゃないよ。だって…まだ掴まれた手首、赤いままだもん…。