「はい、飴ッ!」
昨日恵南と遊んだ時に寄ったコンビニで買った、中学の時からのお気に入りの棒付きキャンディ-を袋の中から一本取り出して差し出すと、一瞬成実が固まったのがわかった。
「え、俺に…?」
「昨日と声違くない??飴舐めるといいよ。」
下駄箱の近くから恵南が手を振りながら私を呼んでるのが見えた。じゃああとでね、と言い残し走って行こうとした時…
「留依ッ!」
「え?」
成実が私の手を握っていた。
しかも呼び捨て…いつもは花田って呼ばれてるのに…??
「成実??」
「…あ、ごめん。何にもない…、じゃ。」
「う、うん…?」
部室のほうに歩いていく成実の、広い背中をボ-っと突っ立ったまま見つめた。さっき突然握られた手首が少し赤くなっていた。
…成実??