女王様御用達。


アオイさん……というには何か抵抗がある。
半分平民だが、年上だったクリスタルさんは先輩と言うこともあるし何の抵抗もなく「さん」づけは出来た。
フィヨルドさんもその実績を考え、その年齢を考えれば小国王の価値のある人間だから自然と「さん」づけは出来る。

しかし、このどこか憎たらしいガキに「さん」をつけるのはおっくうだ。

脳内ではさんは省かせて貰おう。


アオイはふてぶてしく腕を組み、首をかしげる。

「非常に説明が面倒だな」

「アオイ様……」

「よし、フィヨルド。お前に任す」

「ええっ……ちょっと」

ううーん。

振られたフィヨルドさんも首をかしげ、私たちを見つめる。


「まあ、何というか。私たちはルールさんと共同研究をしていたのですよ」

「共同研究?」

「ええ、禁術の魔法陣です。その解読に手が足りないとルールさん達からそれが書かれた暗号の本を受け取っていたのです」

禁術を他国に……。

まあ、本を大量に貰った見返りといったところか。

戦争を起こすような雰囲気もとてもないし、魔術師として名高いフィヨルドさんから奪うなんてなかなかの命知らずか。

「その内容は召還魔法。術師が願う相手を呼び出すものです」

「術師が願う相手を出す?普通は獣や精霊とか……しかしそれらを呼び出す事は禁忌にはなっていないはずですが」

そうなのか?ペスが眉をしかめる。

「はい、しかも呼び出す相手は人間です」

確かに、人間をただ呼び出すという術は聞いたことがない。

移動手段としては便利そうだが、そのためにどれくらいの魔術を積んで出来るかわかったもんじゃない。

手紙で十分だ。

しかも、術を失敗したら、召還される人間の身が危ないのは目に見えてる。

「……ある意味新しいかもしれないが…」

そんなにも必要性は感じない術だ。

「よく分からないが便利なのか?凄いのか?」

ペスがうるさい。

「便利で凄いのかもしれないが、今のところそんなにも必要が無くリスクが高い」

「……ははは」

結構的を射ていたらしく、眉をしかめて笑うフィヨルドさん。