女王様御用達。

彼の領地はリュウズの隣、アルカトの一部だ。

アルカト広大な国で、一人の王が子供に領地を分け与えている。

その数元々は50人程度だと言うから、元気な王様だ。

もちろんそんだけ子供がいれば、王位継承は壮絶なもので。

しょっちゅうこの国の地方は統合したり、分裂したりと地図が変わるらしい。


そして、その中で目的地の領主アオイ氏は、その功績から多くの領地を分けて貰えたアルカトの中でも大地主だ。


しかし、その領は特に発展しているでもなく、貧困しているでもなく。

馬車から見えるのは自然豊かな田舎風景だ。

森か畑。


あと、庶民のジジババ。

それが永遠と、飽きるほど続く。



「……なんだか、行くとこ行くとこ田舎ばっかりだな」



ぽつりと、やはり風景に飽きたらしい向かいの庶民は呟いた。



「リュウズが豊か過ぎるんだ。あそこまで発展した国はそうそうない」




私の国も植物原料を加工して作る工芸品で発展している国だ。

手先が器用だが、職人気質が多くて昔の技術ばかりにこだわる。

よって、新しい文化を受け入れる態勢や思想がまるでない。


おそらく、私の社会勉強にリュウズが選ばれたのも、そういった風潮をどうにかしてほしいという願いからだろう。



「それに、彼はマツリゴトに興味はないらしい」


「祭?」

「政治とか、国作りとか。あくまで『領主』としては最低限関わり、リュウズの法律をパク」

「パク?」

私は咳払いをする。

パクッたって表現はあまりよろしくないな。



「……引用した最低限の決まりがあるくらいらしい」


草むらで草を食べる牛の並んだ尻を見ながら、呆れるほど平和なその風景にため息をついた。




「非常にその法律はゆるいが、平和なのは田舎だからだ」



とても世界に轟く魔術研究者がいる場所とは思えない。