「サギ・アールビィ・グリディア。社会勉強としてオヤジからリュウズに送られてきた。立場上女王騎士だが、時期グリディア国王だ」
「グリディア……」
「本来なら、お前のような身分の低い者が気安く話せる立場ではない」
彼はまじまじと私を見つめる。
白磁のような肌に豪華な金の巻き毛。
高い鼻、凛々しき眉。
すべてが完璧な私の姿は、彼には神のように見えるに違いない。
彼は神にすがるように手を伸ばし。
私の巻き毛を思いっきり馬車の床に向けて引っ張った。
「びよーーーーーーーーーーーーー」
「ひきゃあああああああああああああああああああああ!!」
「うおー!!すげえ伸びる!!どれだけ巻いているんだよ!!」
安物の、幾人踏んだとしれない馬車の床に私の髪の毛先がぺちぺち触れる。
血の気が失せそうに成りながら、私は必死で彼の顔を殴った。
「ぶっ」
「……離しなさい。即刻私の巻き毛を離しなさい」
彼は理解したらしく、その指から巻き毛を手放す。
下民を殴った手をハンカチで吹き、取り戻した巻き毛を指でぐりぐり元に戻す。
しかし、やはりちゃんとコテでまかないといけない。
ポケットからコンパクトを取り出し、美しい顔を確認する。
緩くなった巻き毛は左右で長さが違っている。
ため息をつき、私は手鏡をポケットに戻した。
コテは別の馬車で荷物とともに送ってしまった。
こんな事ならば、手荷物とともにこちらの馬車においておけばよかった。
はふ、私は心底教養のない下民にあきれ果てた。
最悪だ。

