女王様御用達。

「ハチ……いや、とある作家の次の監視はお前だ。サギ」


作家?

ああ、クリスタルさんと同行した囚人か。


「てめえ、奴を適当に扱ってみろ」



次の瞬間、両腕の周りにぐるりと取り巻いていたレンズ状の輪が、空気に解けた。

そして、黒い切っ先が私の鼻に向けられる。


兵士が剣を携え、クリスタルさんの首や心臓を狙う。







「……地獄の底から戻ってきて、てめえをぎったぎたにしてやる」







……黒い槍。

それは彼女が出したとは思えない見事なまでに黒い槍だった。

彼女が使う技は炎属性。

そのため、彼女は鮮やかな赤い槍を操っていた。

しかし、この漆黒はなんだ?

確かに槍から炎の熱さは感じるが、それよりももっと違う力が。

これは……?



彼女は両手を開いた。


その手の中に黒い槍は光として吸い込まれていく。



「そんじゃーな」




彼女は笑顔のまま、ゆっくり両手を空に向けた。


兵士達は彼女を取り囲み、図書館の外に向かって歩いていく。




廊下に射しこむ光が、一度も振り返らない彼女の背中を照らしていた。