女王様御用達。

あれ?



「今日、逆ギレは無しですか?」


「逆ギレって何よ?」


「槍出して、人を問答無用でバシバシ叩くいつものアレですよ」


「何?マゾなの?」


「いいえ違います」


……ああ、彼女は自分の手を見せた。


彼女の両腕が途中で指一本ほど凹んでいる。

眼鏡のレンズ越しに見るようなそんなずれ。




「……それ、手錠ですよね?」




彼女はふっと笑った。


「ああ」


「何ですか?恐喝まがいに賭ビリヤードの金を一般市民からせしめていたのばれました?」


「てめえ、この魔法が出来るのは犯罪者捕獲用の一級の魔法使いだぞ。たかが勝ち金強制回収程度でコレはねえよ」



前、回収の現場見たことはあるが、どう見ても犯罪でした。




「で、何しでかしました?」




「女王騎士役職解任程度だな」





……は?


私は口を開けたままさらりと言ったその一言に凍り付いた。

この人は女王が女王になってからずっと守ってきた女王騎士の古株。

たしかに30前で年齢は一番上だが、おそらく自らやめるとか言う人ではない。

というか、この人の火力はこの人の人格の割に貴重で。

私がいた戦争の陣に『ニアさんがいれば楽なのに』と呟く奴もいたほどだ。

……呪文1つで大型ホテル程度を爆破できるのはこの人の他に他にいない。


「何壊しました?」

「壊してないし」

「じゃあ燃やしました?」

「確かに草っぱらは焼いたが……そうじゃねえよ」



リューズの兵士がずらずらとこちらに向かって歩いてくる。

その制服に付いたワッペンで、女王騎士下のエリート兵士と言うことが分かった。



「ニャア・ミスティック・クリスタルだな」

「ああ」

「一緒に来て貰おうか」

「まあ、ちょいまて。まだ上官であるアタシからの命令だ」



兵士達はざわつく。


その様子を見たクリスタルさんは笑う。



「まあ、ちょっとだ。逃げねえから安心しろ」



彼女は私の方を向く。