女王様御用達。

そして、砕ける氷の壁。


ミアが作り出した出あろうそれはタンスの太さはありそうな分厚い氷の壁。

一瞬で砕け散り、アタシは反射で防御魔法の呪文を唱えていた。


そして作られた赤黒い透明の壁も、抉られてあまり防御の役割を果たしていない。


「……な」


全く防御がない部分の城の壁が吹き飛び、煙突、その先の遠い山の一直線上が壊れている。


何が起きた?

片手の、呪文も無しの攻撃で。

……こんなにも防御が防御を果たさないなんて。


シュシはひるむ事無く、必死な形相で剣を振り続ける。

手だれたその切っ先を、やはり軽々と指先で弾くようにあしらう。



「……威力、凄くない?」


王子がミアの軍服を引っ張り、大穴の開いた城の壁を震えながら見つめる。


そんな事をいいながら、また別の城の壁が吹き飛ぶ。

そこから海が見え、海を2つに割りながら、光の玉が永遠に飛んでいく。



「呪文なしでこの力は……」


まるで役に立たない自らの氷の壁を見つめるミア。



その大穴からは2人の殺陣が続く。



氷の格子の中で、白銀の騎士はクスクス笑う。


『神に刃向かう愚か者は皆死ぬのだ』



「おい」


その低い声に白銀の騎士は振り向いた。





「……てめえの為に、戦っているのにそれはないだろ」


白銀の騎士はその幼い顔で笑うのをやめた。


その代わりハチに眉を寄せる。



『我はあいつに助けられる筋合いはない』



…?


変な台詞だ。

こいつは神側の人間。

神側に戻りたいならば『助けられる』なんて表現は使わないだろう。


なのに、本人は気にしていないだろうが、シュシに助けて貰う気でいる。


神から助けて貰う。


やはりコイツ、自分という存在が曖昧に成っているのかもしれない。

おそらく命令無視であろう王冠のかち割り。

そして、今の発言。




彼女は混ざっている。




神の使い、白銀の騎士という作られた偶像と。


本来のあるべき姿である、人間『ユリハ』という人格と。