あまりのその手応えのなさに、アタシは拍子抜けする。
いや、何カ所かアタシは刺した。
急所も突いた。
人間なら致命傷になる程度だ。
まだひょうひょうと立っていられるコイツの方がおかしい。
こいつの登場で感じる威圧感は今はまるでない。
だけど、アタシの中でなにか府に落ちない。
こんな手応えのなさが、何人も何世代の王を殺し、世界を大きく傾かせた存在。
何故、こんなにもあっけない?
シュシはその眼鏡で隠されていた鋭い目でまだ警戒を解いてない。
しかし、その警戒は白銀の騎士に向けられたものではない。
目をきょろきょろと見渡し、見えない何かを探しているようだった。
何だ?
変な気配は特にない。
「……どうした?」
「使いが力を無くし、拘束されているんだ。来ないはずがない」
彼はその言葉に確信を持っていた。
「な、何が?」
ハチが慌てる。
「彼女を捕らえるのは割と簡単なんだ。だが、その後があるから、俺はずっと今までおっかんけっこを続けてきたようなものだ」
白銀の騎士は涼しい顔をし、シュシを見つめる。
『貴様に神は止められぬ』
神?
シュシはミアを蝕む白銀の縄を剣で切る。
「ミアさん、まだ力残ってます?」
「……ええ」
ミアは寝そべった姿勢のまま頷く。
本当はそんなにも残っていないのかもしれない。
でも、これから起きる何かから王子を守ろうと必死だ。
「では、王子と騎士に攻撃が当たらないよう防御してください。もしもの時には、白銀の騎士は逃がして貰ってかまいません」
コイツは何を言っているんだ?

