「何の真似だ?」
アタシは彼女の耳元でどなる。
『見て分からないか?愚か者め』
「?」
『ミア・ミスティック・クリスタル』
ミアはピクリと動き、死神を見つめる。
『フォーク・シルバーライト』
「は、はい」
反射で泣きながら返事しちゃう王子。
『貴様らは王の資格を持っているが、互いに王に成るに当たり欠けている部分が多すぎる』
え?
は?
この場にいた人間達は、それぞれ意味を把握しようと視線を泳がせる。
『よって、貴様らに与える冠は半分ずつだ。互いに救いあい、王としての役目を果たすが良い』
……。
つまり。
「僕を、殺さないの?」
『新王には王冠を与え、仇なす者には刃を与えるのが我の役目』
「…え…ええっ」
ハチが状況が読めないらしくきょろきょろしている。
「今まで、数百年、そんな人事はなかったろ?白銀」
シュシの問いに、彼女は小さく答えた。
『……すべては神のご意志……』
それなら、王子に剣を突きつける理由はない。
それで、実際王子の首は軽く切れて血が出ている。
「ミア、ミア!!」
床に倒れるミアに王子は寄り添う。
……本当に、王子は王の候補だったのか?
2つに割れた王冠は、幾分王子の方が小さな欠片にみえた。
『どけ』
彼女は気分悪そうに、アタシに言う。
アタシが呆然と反射的にどくと、彼女はガシャン、ガシャンと王室の出口へ向かい歩いていく。
背中がなんか寂しい。
僅かに残った分身たちが、液体に戻り、彼女の鎧にすいこまれていく。
「ひょっとして、ユリハか?」
シュシの問いに、彼女はゆっくりと足を止めた。

