女王様御用達。


あとちょっとで白銀の騎士の背後に回れる。



お願いだ、それまで時間稼ぎをしてくれ。




『そうか』



騎士はそう言うと、剣を握り直す。

ピクリっと体を震わす王子。


間に合え。


アタシは白銀の騎士の背後から心臓に槍を向け、シュシはミアを吊り上げるヒモの柱を切る。

落っこちてきたミアを剣を持っていない方の片手でいったんクッションさせ、そのまま床に落っことす。


ハチは王子を剣反対側の横から引っ張り、白銀の騎士の剣から逃れる。


しかし、アタシが彼女の背後から見たものは。



剣を握っていない方の手で銀色の王冠を握っている姿だった。





「え……」




それはこの世のものとは言えない美しさの冠だった。

白銀に輝き、繊細な模様が彫られた冠。


そこら辺の壁当たりにあるどっかの冠とは大違いだ。


その美しさは魔力的でしばらく視線を奪われた。





『……めんどくさい奴らだ』





彼女はそう言うと、手にした美しい冠を空に投げた。



そして、もう一方に持った剣を振る。



美しい冠は空中で綺麗にまっぷたつに割れ、そのまま落ちて床にコロコロ転がった。


1つはミアが転がる目の前に。


もう一つはハチに引っ張られ、バランスを失い尻餅をついた王子の元へ。





その半分この王冠たちはやっと止まった。