女王様御用達。

ちょっと空気が和んだ気がした、そんな時だった。


「きゃぁぁぁぁぁぁああ!!」


ミアの体が宙に浮かび上がる。

地上から伸びた銀色のヒモがぐるぐる体を巻き付かれ、地上高く吊り上げられた。


「ミア!!」

「ミアさん!!」


ミアは空中でもがき、ヒモから逃れようとするけど、それは強く強く締め付けているようだった。

槍は王子の横で転がり、溶けていた。


フォーク王子はゆっくり空を見上げその様子を確認する。

おしゃべりな彼がこんなにもおとなしくしているのが不自然だった。

ミアは、王子を見下ろし、叫ぶ。


「王子、逃げてください」


まるで聞こえないかのように、王子は床を見つめる。

そんな彼の頭にポロポロと雨が降る。

フォーク王子は室内で降るはずのないその雨に空を見上げた。



「……王子、お願いです……逃げてください……」


ミアの顔はぐしゃぐしゃだった。

その顔の化粧が溶けるほどぼろぼろ泣いて、王子の顔にその涙は降る。

王子はその涙から逃れるように一歩後ろに進み、唇をかみしめ。



……そのまま、ゆっくりと首を振る。



「王子!!」


アタシ達の視界から王子を遮るように、ゆっくりと白銀の騎士が現れる。


「……ヤバイ、あいつ本物だ」


シュシは王座を睨み付ける。




白銀の死神はその大剣を振り下ろした。






「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


ミアの声に王室全体が揺れるようだった。