女王様御用達。


手袋を脱ぐと、明らかに不自然な黒い皮膚と、鮮やかに赤く刻まれた模様が見えた


トライバル模様のようなその赤は不自然に発光していた。


「……リース、次は小腸か?」


「ええ」


その女はアタシの後ろにいつの間にか立っていた。


赤い唇をにやっと笑わせる。


「痛みは後で受けるから、動く間は痛みを止めとけよ」

「さあて、分からないわよ?私、痛がるあなたも大好き」


彼女はアタシの横を通り、シュシに抱きつく。


何か分からないが、この状況でイチャつきだしたぞ、コイツ。


「……でも、こんなに増えちゃった彼女を見るのはすんごく不愉快」



可愛く言う割に、心底嫌そうな目。

まるで汚い者を見るかのようだ。



「だから、そこそこ協力してあげてもいいわ」


「そりゃどうも」


その目が今度はアタシを見つめる。


「成り行きとはいえ、人の力をタダで利用する女がいるのも気分悪いけど、……あいつ倒すために精々あがきなさいよね」


なんかむかつくな、この女。


「ハチさん、これ持ってて~」


女に抱きつかれたまま、シュシはかけていた眼鏡をハチに渡す。




「ハチさんが持っていれば、絶対大丈夫だから」



「?」

「とりあえず、ハチさんはみんなと一緒に行動して。あ、でも一応俺の周りには近づかないで」


女は彼の手を握る。





「俺がかすかでも切った人間って、大概死んじゃうから」




女が握ったその腕が、黒い柄に。


その身がゆらりとぶれて、巨大な黒い刃となる。


彼の黒い手とまるで同化するかのような、黒く光るトライバル模様が剣にも続いていた。


彼女がごふっと吹き、目の前の騎士にその血をまき散らす。


「ちょっと大丈夫か?」


「ただ、小腸が食われた反射反応だから大丈夫」


……食われたって。


「その小腸部分の代替品もあいつがこの腕みたく用意してくれているから日常生活にはとりあえず影響はない」




不自然に光る腕も、契約のために悪魔に売った。




アタシにはそう聞こえた。