女王様御用達。


……つまりアタシ達が調べていた物語は、医者が言った伝記。

素人が作った伝記だからこそ、あの物語にはオチがなかったんだ。



『そこそこ、おもしろい物語だろう?現地では白銀の騎士の神も神だが、医者はそれ以上に祭られている。万能の神で治せない病気はないっていう黒髪の男の神だ』



黒髪。

……シュシの髪は黒だった。


『医者の考えはよく分からないが、ともあれ君が当てにしている物語は有力な情報と言うわけでもなさそうだということは分かったよ』


白銀の騎士の話は、裏で医者が手を引き作り上げ、浸透させた物語。

何故そんなことをする必要がある?

白銀の騎士という存在を公にし、その動向や情報を多く得る為か?




『町でも、個々独自の伝説を作る文化が発達しすぎてしまい、今じゃどの伝記が本当の事なんだか分からない状態らしい。ここまで来れば、悪魔召喚なんて大それた人間がいたかどうかさえも謎だ。悪魔召喚は禁忌だから触れていない物語だって多かったぐらいだ』




だが、白銀の騎士は確かに存在をしている。



現にこの国の王はその死神のせいで王座を追われている。




『戦争でみんな消耗している中、そんな偶像を追いかけているなんて、君も耄碌したものだ。いい加減引退を考えた方がいいんじゃないか?』




ごり押しで女王騎士に入った奴には言われたくねーし。


アタシは手紙の端をギュッと握りしめた。