その日の城は飾られ、王座とその前までのカーペット以外は人に満ちている、そんな状態だった。
椅子が置かれ、そこに国の重鎮らしきジジババが座っている。
それもほとんど代理の人間ばかり。
副町長とか、事務次官代理とか、普通の肩書きに余計なものがついていた。
この式は神に逆らい行われているもの、この国の奴らにはそう言った認識があるらしい。
過去にこの国の王達が死に神のカマにて選り分けられていたからこそだろう。
最悪の事態が起きても、マツリゴトに支障がない人間を各団体で選んだに違いない。
「これより、即位の儀を執り行います」
ミアの声が王室に響いても、おかげさまでとても祝いの雰囲気ではなかった。
国の子供達が歌う国歌が、まるで鎮魂歌のようにどこか悲しく寂しげだ。
着飾り、王座に座るフォーク王子はその様子をガラス玉のような瞳に写す。
魂がまるでそこに無いがごとく、ぴくりとも動かない。
王子はただ会場を、そしてその進行をするミアを見つめていた。
ミアに名前を紹介された他国の代表が、フォーク王子に一礼し祝辞を述べる。
長ったらしい中に、自分の国の発展の自慢を織り交ぜ、それはつまらないものだ。
どうせ、お前も代理のくせに。
自慢げに語るつまらなさを鼻で笑う。
このままじゃ睡魔に勝てない。
バックを開け、アタシはミアから渡された手紙をびりびりと破り、中身を取り出す。
「ミアさん、静かに」
礼服を着て、隣に座っていたハチは慌てて周りを見渡しお辞儀しまくっていた。

