女王様御用達。

「いつもなら、新王候補のストーカーをしてるのに、今回はもやしとババアと酒飲みなわけ?」

「王候補は女だ。ぴったりくっついたら、お前邪魔するだろ?」

「当たり前でしょ」

酒をぐいっと飲む彼女に頭を抱えるシュシ。


「……支払いはしてるだろ。余計な手を出すな」


「あらあら。まけてあげてるんだから、調子載らないでよね」


ほほほほ、と女はご機嫌だ。

酒のせいか、今回はこちらに気づいていないみたい。

いや、またわざと見せているとか?



「今回の首を切られる哀れな王子様はカワイイわね」

「お前の好みか?」

「うん。カワイくて必死な一途な男の子大好きよ」


にっこりとこちらを向いた顔はとても可愛らしい顔だ。

まつげ長くて、はやりメイクの小顔。

しかし、開いた目は、輝かんばかりの不自然な赤。

どきついピンクの唇をにやっと笑わせた。


「誰かさんにそっくりで」


シュシは首をかしげる。


「『白銀の騎士に対抗できる刃が欲しい』黒魔術も知らない誰かさんが、その魔法陣のレベルも支払いの大きさも知らないまま15歳の少年が悪魔召喚」


彼女はピンクの爪でグラスを弾く。

ピーンといい音が響いた。


「自らの死をも恐れず、彼女に一途な所、まるでそっくり」


「恐れてるさ。あの王子は」


シュシは星を見上げる。



「でも、恐れすぎたら新王様候補が苦しむ事が分かってる」


にっと、彼は笑う。


「やっぱ俺とは境遇はちがうさ」

「?」

「彼を心から心配してくれる人がいるだけ、彼は幾分俺より幸せだ」


何だろう、その笑顔がとても寂しそうに見えた。