女王様御用達。

レストランに一番近いトイレは、外にある。


宿屋内にもあるけど、ちょっと遠い。

ムシがシンシンと鳴く声を聞きながら、トイレに続くドアをゆっくりと開ける。



「意味無い事で人を操るな!!びっくりするだろ」



少しトーンを落としたシュシの声。

アタシとハチは見つめ合い、お互いに黙るよう人差し指を立て会う。


「だって、あのババアむかつくし」

「恨まれるの俺なんだからな!!」

「女の二の腕さわれたからいいじゃない?」

「ハリの無い肉さわっても得るものはない」


……ああ?


トイレの裏でそのやりとりはされているらしい。

水たまりがあり、そこから反射してその風景は小さく写っていた。

白い白衣…おそらくシュシと、体にぴっちりとした黒い服を着た女がいた。

トイレの照明に間接的に照らされていて2人が浮かび上がる。

女の声はラジオと誤魔化したあの声だ。

女は赤い髪をして、手にグラスを持っている。

顔は見えないがかなりスタイルいい女だ。

水商売か……そう思わせる妖艶な雰囲気を漂わせた。