「ちょっと用足しに行ってきます。マスター、ちょっと」
と、マスターとともに店の奥に消える。
残されたアタシとハチはしばらくそっちの方を見つめる。
「何故、用足しにマスターを呼ぶ?」
「釣れションという奴じゃないですか?一人トイレは怖いってゆー」
そんなキャラじゃないと思うが。
「…百歩譲ってそうだとして、何故アタシやお前じゃなく、マスターなんだ?」
「そりゃ、ニアさんは問題外として、普通一緒に行くなら俺っすよね」
「つまりこういうか?」
アタシはグラスを口に運ぶ。
「シュシは、紳士フェチのホモ」
ハチは思いきりジュースを吐いた。
ちょうどその時マスターだけが帰ってきたので、マスターびっくりだ。
「どうなされました?お客様!!」
むせかえるハチに、水とタオルを渡す。
「シュシは?」
「お手洗いに」
「何でマスターも呼ばれたんですか?」
「グラスとワインを一本欲しいと」
グラスとワイン?
「トイレ行くんでしょ?」
「個室に籠もるからと。長い時間過ごしそうだからって」
…便秘症ってか?
医者のくせに。
……。
「なんか府に落ちないな」
「何が?」
「上から摂取し、同時に下から排出するそのどこか不毛な行為」
「今日はブドウジュースを頼んでてよかった…」
アタシはグラスを持って立ち上がる。
「ちょっとちゃんとトイレにいるか確認するわよ」
「……え?」

