女王様御用達。

床には事件が起きたかと思うほどの血だまりが出来るほどの鼻血。

急激に血を失った王子は、今度は顔を青くしていつものベッドの上で寝ていた。


「いやぁ、いいものを見させていただきました」



医者であるシュシが素早く動いて対応したのは幸いだった。

シュシの発言でミアはやや汚物見るような目でアタシ達を睨んでくる。


「王室よ?勝手に覗く!?」

「だって、王子が調子悪いのは目に見えてたし……」

「だからって、病室から抜け出してさんざん行方不明になったあげく、登場の仕方が最悪じゃない!!」

「いや、こちらもまさかそんな展開になるとは思わなかったし……」


そんな展開。

この言葉に反応し、ミアは唇を軽く噛む。


そして王子の汗ばんだ髪を指先で払う。


「王子は最近熱っぽいのです。微熱続きで」

シュシも腕を触る。

「確かにちょっと高いね。風邪ぽいけど」

ぱかっと口を開きのぞき込み、頷くシュシ。

「それで頭がイカレてたってか?」


頷こうとしたミアを遮り、ハチは呟いた。




「……熱のせいにしちゃうのはあんまりじゃないですか?」



真顔でハチはミアを否定する。


「折角がんばって告白したのに、熱のせいにされたら俺はヘコみます」


「……」


「王子は確かに年齢としては未熟なのかもしれませんけど、自分の立場と状況が分かっててミアさんに伝えたはずです。それでも、ミアさんに伝えたかったんだと思います」


「……」


「……今伝えないと、いつ白銀の騎士に殺されるか分からないから」


「それは絶対にさせません!!」


ずっと黙っていたミアが、突然ハチに怒鳴り返した。



「絶対に、王子は私が守ります!!白銀の騎士なんかに王子の首を渡しません」



ハチは慌ててアタシの後ろに隠れる。

割といいことを言っていたのに、か弱い奴め。


「ハチに当たんな、ミア」


ミアは目を伏せ、小さく「ごめんなさい」と漏らした。