女王様御用達。

ため息つく王子。


『……もう、僕たちは何をやってるんだか……』



顔を押さえ、ミアへの苦言というより、すべての状況に絶望した深い吐息。


ただ、ミアの嗚咽がその空間には響いていた。

これは暗いな。

ハチが私の肩を叩く。

次の機会にしませんか?目がそう言っている。

シュシの方を向くと、俺は一向にかまいませんといったどこか残念そうでも納得している顔。


しゃーない。


顔を引っ込めようとしたその時だった。


顔を押さえていた王子が、ミアの軍服のネクタイをぐいっと引っ張った。



「!?」



次に飛びこんできたのは王子とミアが唇を重ねている映像。

ハチが口をあんぐりしたまま固まった。


ちょ……。

アタシ達、そして警備兵さんたちが皆さん見ている中。

いや、向こうは修羅場過ぎて気づいてないだろうけど、向こうにもこちらにも動揺が走る。



「……王子?」


やっとネクタイを離されたミアは、涙顔のままぽかんとしていた。



「ミアは、僕のお嫁さんになるの!!だから死んじゃったら絶対にだめ」



王子、見たこと無いくらい顔が真っ赤だ。

つうか人間ってあんなに赤くなるのか?と思うくらい酷い真っ赤だ。

ミアは首をかしげ、王子を見上げるように床に座り込む。



「それは命令ですか?」

「ち、ちがうけど」



王子はやりずらそうに頬を掻いた。




「違うけど、断られたら……悲しい」




ミアはそういうところすっとぼけているから、何が起きているか理解できてない。

というか、本人的にもずっと育て上げてきた子のようなものだから、そう言った感情は持っていなかったはずだ。

常に母親のいない王子を守らなければいけない、保護者的な感覚。


だけど、王子は違っていたらしい。