女王様御用達。

『この国の発展に、僕は何も関わっていない!!』

『そんなこと』

『発展するための知識も、アイディアも、すべてミアだったじゃないか!!僕は実行するために判を押していただけ』

『そうです。貴方にしかその権限はありません。私のアイディアだというその今までの発展も、王子が採用してくれたからです』

『そうやって君は僕を正解へ誘導してきた』

『誘導なんかしていません』


ミアは首を振る。


『王子は、磨けば輝く宝石の原石を見極めてくれた。磨く許可を与えてくれた。どんなに磨き手が良くても、そのきっかけが無ければただの原石に過ぎなかったアイディアです』


よくよく聞いてれば、王子はただ単にミアの言っていることにただ怒鳴り返している。

それをミアがなだめている。

王子が大きな声を上げているからちゃんと聞くようにと。

そんな感じ。

しかし、あの穏和な王子がこんな声を上げるなんて。

意外な一面だ。

やはり、そこは15歳と言うべきか。


『また、ミアはそうやって……』


今度はしょぼんと肩を落とす。

ミアは微笑みながら肩を叩く。


『この国の発展だって、国王になればもっと見えてくるものがあるはずです。私は年の功で物を言ってます』

25歳ですから。
ミアは笑う。

『そこで言えば、王子は経験的なものや年齢が足りないかもしれません。しかし、それは国王になり、年齢を重ねればもっといろんな事が見えてきて、いろんな事ができます』

『……』


『私なんかよりも、もっともっと広い視野となることでしょう』

『広い視野』

ミアは頷く。

『今、王子の代わりを務められる者はいません。だから即位式でちゃんと国王になり、騎士に見せつけさせてやればいいのですよ』


『……』


『そのために、今は体調を取り戻すために寝ましょう。ね?』


王子は自分を掴むミアの軍服の袖をちらっと見つめた。


『そうだね』


そして、ミアの袖をたくし上げる。

そこには包帯をぐるりと巻いた手首があった。

ミアは気づき、その手首をもう片方の手で隠す。