女王様御用達。

「だけど、アンタが歴史や物語を調べかみ砕いて物語にしてくれれば、物事がだいぶ把握しやすくなるの」



顔を上げたハチにアタシはにかっと笑いかけた。


「だから、アンタに知識的なところを補助してくれると助かるわ」


額をつっつく。


「アタシは活字も難しい表現も本当は大嫌いなの。魔術書もクソ専門用語だから嫌い」

あ。

アタシは付け加えた。


「エロ本はよく読むけどね」


彼は顔を引きつらせる。


「……シュシが恐ろしいなら、アンタの観察眼で奴の物語を書いて自分なりに彼を理解しようとしなさい。もしもの時にそれがアタシの力になるかもしれないし」


「シュシを調べろってことですか?」

「やりすぎない程度にね」


彼は真剣な表情で頷いた。


「やってみます」


アタシはうなづき、部屋の外に出て行くハチを見送る。

ベッドの上に座り、近くの机からタバコを取り出したところで、ハチはノックも無くアタシの部屋に戻ってきた。


「どしたの?」


ハチはアタシの部屋の壁を指す。

壁の向こうはシュシの部屋だ。




「奴の部屋からかすかに女の声がします」