女王様御用達。

悪魔、その未知の力は魔術を囓った人間にとっては恐ろしい技だ。

そして奴が本来戦う相手は自称神の使いである白銀の騎士。


奴の一撃を食らっただけで、アタシは死にかけた。


歴史から見れば、そんな相手とずっと戦って来た相手。


何百年もその足で旅を続けて。




穏和なシュシからは禍々しさ以外、何も感じさせないが。



「監視はするさ。奴を逮捕しに来た訳じゃないが、やはり度を超えたことをしそうになったら死んでも止める。責任だからな」

「死んでも?」

「アタシは、腐ってもリュウズの女王騎士だ」



それでもハチは顔を曇らせていた。

「そんなに頼りない?」

両手を組み、アタシはハチを睨み付ける。

「いえ。ニアさんが凄いのは分かるんですが」

「ですが?」


彼は顔を上げて小さく笑った。



「俺は、何もできないなぁって」


……?

アタシは頭をかしげる。


「いや、俺前も助けなきゃいけない人がいたのですが」


彼は笑いながらも、その拳を握る。


「女王騎士に任して、助けなきゃいけない人を助けられなかったから」


クロと一緒に行った旅の事か。

報告書を斜め読みしただけだからなんとも言えないが、どっちみち女は死ぬ運命にあったようだし。

その女は行方不明になって、ある意味命は救われたというかなんというか。

奴の報告書読む限り、人間であるかもどうかさえ微妙だし。


「勘違いすんな、ハチ」


「勘違い?」


「アンタは仕事は物書きだ。てめえの加勢なんか最初から数に入ってない」


ハチは辛そうに歯をかみしめる。


「つうか、護衛しなきゃいけない分、むしろ邪魔?」


「……そこまで言うか」


しょんぼりと、肩をおとす。