女王様御用達。

一般人達が身分証で止められるのを見ながら、アタシ達は待合いの椅子でその様子をひたすら観察する。

手には槍を持っているが、こういった国境で武器を持っていても何も言われないところが特権階級のいいところ。

「ニアさん」

「ん?」

「まさかと思いますが……」

隣に座っていたハチは、人の列を眺めながら呟く。




「その……特別パスの人間が来るまでココで待つ気じゃないでしょうね」


アタシはちらりとハチを見つめた。

「うん」

ハチは黙り込む。


「……マジで?」

「だって、特に手も無いし」

「えー……」

物語の舞台には女王騎士が行くことになる。

もし鉢合わせしても、地味な闘いにはならないだろう。

それなりにミアの耳に入るに違いない。

それに今狙われているのはミア。

あるいは王。

アタシが暴れた事件もそこそこでかく広がったみたいだし、ミアが次の王ではないかと十分噂は流れている。

前回の白銀の騎士が王の首を狩った国はそこまで遠くもない。


「もしですよ?」

「ん?」

「その悪魔の男っぽい奴が通ったらどうやって悪魔の男と証明するんですか?」

アタシは槍を握る。


「後ろから殴る」


「……何?その通り魔的発想」


「相手は白銀の騎士とある程度渡り合える実力の持ち主。適度に殺気を出して槍で殴ればそれなりの反応を見せるさ」


「もし、それなりの反応を見せなかったら?」


見せなかったら……。

きっと、槍は頭を叩くだろう。


「多分気絶するから全力で逃げる」


「聞かなきゃ良かった……」


さめざめと、ハチは顔を覆った。