「息がつまりそうですよ。全く」
彼は病室を歩き、窓へ出る。
そこから緑豊かな国の景色が広がっていた。
「あー外いきてー」
「それは無理」
ハチは生気も覇気もないその目でアタシを睨む。
「忘れたか?お前は女王私刑の執行中の犯罪者なんだぞ。エロ作家」
「逃げませんけど?こっちで何も出来るわけもありませんし」
そう、この男は何も出来るわけでもない。
というか、一人で生き抜く力すらない。
「一人だと酷い方向音痴で人の顔も覚えられないくせに」
むーっとハチはアタシに頬を膨らます。
「美女と一緒に同棲だから。天国でしょ?」
「……天?」
彼は何故か両手を組み首をかしげはじめる。
「せめて、これさえなければもう少し充実しているのですが」
そう言い足を上げると、ジャラリと音を立てる金属の鎖。
ハチの足とアタシのベッドの足は鉄の鎖で繋がっていた。
足をぐるりと鎖で固定し、でかい鍵をかけている。
束縛系魔法が氷系であり、凍傷させないようにというミアの配慮だろう。
おそらく女王の手回しが何らかの形であったようだ。
しかし、目立つ。
来る奴来る奴この鎖を見つめる。
誰もそれについて口にする奴はいないけど。
……おそらくだが、なんか変なプレイと勘違いされているっぽい。
「トイレがこの部屋にあって助かりましたよ」
白銀の騎士と闘い話題なるアタシたちを守るため、VIP御用達の病室をとってくれた事は本当に感謝につきる。
トイレやシャワー、それに調理場も完備。
ベッドもふわふわだし、対応に来るナース達がとても知的だ。
本来は王家用の部屋なのだろう。
「なくてもこれがあったろ」
アタシは部屋にあった、尿瓶を持ち上げる。
「絶対に嫌です!!」
ハチは響き渡るような声で尿瓶を全否定した。

