「お姉ちゃん、すっかり良くなったみたいね」
見舞いに持ってきたリンゴを爪先にだけに装着した槍で剥いていく。
「そうか?」
皮はむけるが、その皮は短く机に落ちてしまう。
また、槍が上手く扱えず、温度調整に失敗し一部焼きリンゴになってしまっていた。
果たして良くなったと言えるのか。
本調子じゃないリンゴにアタシはため息つく。
「ハチ、リンゴ食べていいよ」
「いくら何でも毎日数十個はきついっす!!」
毎日見舞いに持ってくるリンゴをまるでノルマのように剥き、剥いてはハチにやっていた。
おいしいおいしいと食べてはいたが、そろそろ飽きたらしい。
「わがままな奴ね」
「わがまま……わがままか?」
そのあたし達のやりとりを見ながら、ミアは吹き出した。
まるで咳を切ったように笑い、それが止まらない。
病的なものを感じる発作的な笑い。
「ミア?」
「ミアさん?」
「あはは、ごめんね。今度は梨を持ってくる」
彼女は席を立つ。
「これから視察があって、ちょっと王子の調子も良くないから。行くね」
そう言って、ドアノブに手をかけるミア。
その顔は、あまりに表情が死んでいたように見えた。

