次に見たのはハチののぞき込んだ顔だった。
「ハチ……夜ばいか?」
寝転がっているという認識は出来たので、そう素直に思った。
ハチはやたら長くため息をつき、苦く笑った。
「多分、今したら痛いっすよ?」
「……しょぼいだろ?どうせ」
「どこ見ているんっすか」
ハチの隣には輸血用のパックと管が見えた。
アルコール臭と、薄暗い部屋。
だけど安そうではない。
あれ、見覚えがあるな、この部屋。
宿屋じゃない。
「どこ?」
「フォーク王子の寝室です」
「あ?あのガキンチョの相手するのか?」
「どうしたらそういう発想になるんだ……この人は」
ハチは残念そうに呟きながらも笑っていた。
「王子の前ですので、危険な内容は謹んで下さい。お姉ちゃん」
赤い目をしたミアがアタシを睨み付ける。
「……」
その奥には真っ赤っかな顔をした王子が椅子に座って目を背けていた。
「……うん?」
状況が良くつかめない。
「あの死に神から羽根みたいな剣を何本も体に突き立てられたんすよ」
ハチは目を細め言った。
「なんかその羽根が特殊らしくって、ニアさんの血を凝固させずどんどん出血させていたそうです」
刺された感触が体に蘇る。
「……あのクソガキか」
「今あの羽根の金属を調べているんだけど、今までにない種類の特殊な金属みたい。とりあえず出て行く血液をどんどん輸血して、金属にかかった魔法を無理矢理ねじ曲げて無効化してやっと持ち直したのよ」
声の端が声になっていない。

