女王様御用達。


宙を睨み、白い槍を構えるミアが睨み付ける。


「我はお前と戦うことを望んではいない」



確かに曇っているが、その騎士の声は意外な程幼かった。


「貴方が冠を渡すお方は別だと言っているでしょう!!」


ミアが両手を広げると、ミアの足下に魔法陣が光り、広がる。

その魔法陣から長い槍が八本ほど生え、騎士に向かって伸びる。


勢いよく騎士を貫こうとするが、騎士が逃げる方が早かった。



槍の先端がお互いに破壊しあって、欠片がミアの頭上にぱらぱらと落ちてくる。



「我は神が選んだ人間にしか、王冠は与えぬ」



騎士は自分の体ほどある大きな剣を軽く振るい、ミアの回りに生えた槍をなぎ払う。



「人を見る才能のない神なんて私は認めない」


ミアはまるで舞うように槍を振るい、大剣をかわし、頭に向かい槍を振る。


「……強情な王だ。貧しい子供のように王冠をねだる王もいるというのに」


「私は王子の首を奪ってまで女王になろうとは思わない!!」


ミアの槍は空気を貫く。

『空気に溶けるように』、その消えゆく様子の表現は的を射ていた。


「!?」


ミアの背後に白銀色が集まっていく。

彼女自身はそれに気づいていない。


「ーーっ」


アタシは人差し指と中指に力を込める。

燃え上がる爪で、闇夜の空気を切るように指を走らせる。

尾を引く炎の光が、赤く光る棒となり固体化する。

もう一方の手で掴むそれは、私の身長ほどある長いもの。


「ハチ、ケシズミになりたくなきゃアンタはそこにいなさい」


ハチはこくこく頷いた。


ミアの方に歩きながら、生まれた棒の先に二本の指で炎を絡める。

棒を大きく振ると、明るく燃え上がり光る鋭い槍がそこにできあがる。