女王様御用達。

ガン、ミアは手にしていたガラスの器を机の上に叩き置く。

こいつ、酒を頭からぶちまけてきやがった。



「この国に来て心細くて敵が多かった私の唯一の話し相手が王子だったの!!」


目にアルコールがしみてきた。



「何も知らないお姉ちゃんが、適当な事を言わないで」



同じく酒をかぶったらしいハチがきょろきょろしている。


「ハチさん」

「は、はいっ」


「支払いは私のところに請求させとくから、この酔っぱらいと一緒に飲んであげて」

「え、え!?」


うえ、鼻から酒が出てきた。

鼻いてー。


「ミアさんは?」



「私、気分悪いから帰る」




と、奴は席を立ち、乱暴に扉を開ける。

ツカツカ外へ続くハイヒールの音が遠くなる。


「ええっちょ!?」


これだからあいつは。


感情の起伏が激しいところは相変わらずだな。

「おい、ハチ」


「何ですか?」


「こういうとき、奴を引き留めるのが男の勤めだ」



「自分で行けばいいじゃないですか!!」


「今の状態をさらに悪くできる自信ならあるが?」


「……行ってきます」




ハチは舌打ちしながら部屋を飛び出す。