女王様御用達。

ミアは歯をかみしめる。


もしかしたら、あの時に憧れた女王の座につけるかもしれないのに。

たった数年かわいがった王子の為に、そこまで迷う必要はあるだろうか。


「私は、とっさに彼女へ槍を振ったの」

「攻撃しちゃったのですか?」

ハチは驚く。


「でも、彼女は全身を白銀の鎧を纏った姿になり、するりと避けてしまって」



……ミアの槍を避けた?

相当な戦士だ。

いや、ミア自身とまどいと迷いもある槍だったろうが。

それでも……。


「『また王冠を渡しに来る』彼女はそう言い残し、まるで空気に溶けるようにいなくなってしまいました」


空気に溶けるように退場か。


魔術的なものを囓っているんだな。


「それから何度か一人の時に現れては、王冠を渡しに来て」


「懲りないね。その子も……」


頷くミア。


「気配を感じればよく槍を投げるから、最近は少女の姿ではなく、鎧の姿で来るようになったけど」



……ちょっと吹いた。


刺さったら痛いと思ったんだろうな、白銀の騎士。


「お姉ちゃん、笑い事じゃないんだって」

「そうっすよ。ニアさん」



何か避難浴びてるけど、だって笑えたんだもん。

アタシは密かに頬を膨らます。