女王様御用達。


城を出て、ミアと再び会う約束をしたのは夜だった。

オシャレなバーを知っていて、アタシ達はそこで待ち合わせることになった。



「……すげー、大人の世界っすね」



ネオンが光る看板を見上げ、ハチは眉をひそめた。

小さなバーだが、貴族の屋敷を改造し、さらにレトロ感を出した雰囲気がとてもいい店。

中からはタバコとウイスキーの香りがする。


「とてもミアさんが紹介したお店とは思えない」

「どういう店を想像してたんだ?」

「上品なレストランとか」



「作法がめんどっちいから、アタシそういうの大っ嫌い」



「そんな自己中な理由で大否定しなくても」



「大体、アンタのそのぼろっちい服で入れるとでも思ってるの?」


ポチは自分のTシャツとGパンをつまんだ。




「奉仕作業の手取りって相当無いんっすよ。一年間毎日働いてで一万あればいい方」



……まあ、彼の場合特殊事情でその警備費の方が遙かにかかる。

実は私はこのもやしの護衛も兼ねている。

その一日の護衛代はコイツが頭がすべて白髪になるほどの年数を働かなきゃ到底払えないだろう。




もっとも、そんなこと本人は知るよしもないが。



「大変ねえ」

「ニアさんはハデっすね」


黒いドレスに赤いコート。

ちなみに黒いドレスはミニでスリットも入っている。


「なんつうか、露出が凄いというか。谷間見えすぎというか」


「欲情するか?」


「とし…」






「……そのまま年増って言ったら、玉潰して去勢してあげるわよ」



アタシは指の関節をバキボキながらしながら拳を握る。




「ごめんなさい」



彼は深々と頭を下げる。


資料には理解力に乏しいと書いてあったが、学習能力はそこそこあるようだ。