女王様御用達。

「で、そちらの男の人は誰なの?」


ハチはビクッと体をこわばらせた。

うろたえるな。

確かに世界を大パニックにし、その名前を猥語にしたエロ作家となるとばれるといろいろ厄介だぞ。

「こいつは作家です。うちの女王から物語を書けと言いつかっております」


「物語?どんな物語を書くの?」




「死神の話を調べて来いと」




アタシは歯を見せて素直に答えるハチを睨み付ける。

へっという顔で、ハチは目をぱちくり。

本当にコイツは空気が読めてない。






「死神って、あの王を選定する白銀の騎士?」



王子は笑いながら返した。

「え?あ、ハイ」


「確かに物語にするにはおもしろい題材だと思うよ。僕も乳母から怖い話として良く聞かされたよ」


「怖い話ですか?」



「うん。白銀の騎士は突然現れ、王となる者に似合う王冠を授けに来るんだって。
『次の王はお前だ』ってね」



ミアは目を向こうへ背けた。



「でも、その王になることを反対したりした人や、それまでの王は、白銀の騎士の持っている大きな剣で首を刈っちゃうんだ。騎士には剣も魔法も聞かず、阻止する者はすべて殺しちゃうんだって」



彼は自分の首を指でなぞって見せて笑った。




「だから、悪いことをすると『白銀の騎士に首を刈られるぞーっ』て、よく怒られて眠れなかったもんだよ」





……よりにもこの国の王子にそんなこと語らせなくてもいいのに。





「うちの地方では良く聞く話なんだけど、そっか。リュウズでは知らない人も多いんだね」


「ええ、初耳でした」


いや、うちの国でも子供に読ませる童話の1つとして普通は聞かされる。

コイツは、やっぱり空気が読めない。