女王様御用達。

「折角着てくれたのに、こんな姿で申し訳ない」


彼はパジャマ姿でベッドの上から小さく頭を下げた。


アタシははっとして、頭を下げようと床にしゃがむ。

ハチに至っては土下座するほど深々と頭を下げていた。


「あ、いいよ。いいよ。足痺れるのは僕も苦手だから」

ちょっと声変わりをしているくらいか。




「王子は二日前に倒れてしまって、今日も体調が優れないのです」



アタシとハチは床に座ったまま彼を見つめた。


「今日はちょっと気分がいいんだ。だって、あなたはミアのお姉さんなんですよね?」


はあ、とアタシは頷く。


「会いたかったんですよ~。ミアからかねがね聞いてます」


「はあ、どうも」

「リュウズの女王候補だったんでしょ?」

「まあ、はい」

「凄いなぁ。ミアから聞いたらとっても生き残れないですよ」

「まあ……はあ」

「ケンカも槍もとっても強いとか」

「まあ。そこそこ」

「今日は持ってきてないの?」

「必要な時にしか出しませんから」

「ああ、ミアと同じような技なんですね」

「まあ」

「ミアはとっても良くしてくれるんですよ。僕の教育から、介護まで」

「はあ」

「この国の発展に案を出して見れたのもミアなんですよ。博識で助かってます」

「ほう」

「リュウズの方は会ったみんなが頭がいいんですよね。尊敬しますよ」

明るくキャピキャピと良く喋る。

駄目だ、このお喋りさん。

こっちのHPを削ってくる。

同じガキでもう少し幼いうちの女王騎士の方がまだマシだ。


「王子」


ミアが王子の頭をチョップで叩いて静止させる。


「ミア!?」

「申し訳ありません、王子は突っ込まないとおしゃべりが止まらないんです」


病弱の王子は頭を押さえる。


「僕、おしゃべりだった?」

「会話とは、相手との言葉の交換ですから」

「……ごめんなさい」


王子はやっと黙った。



「豪快な国だぁ」


ハチはそのやりとりを見ながら引きつりつつ笑った。