女王様御用達。

「国はその体裁を守るために、きれい事ばかりはしてられない。時に非情な事もしなければならない」



「ですが!!」



「お前は純粋すぎる」



彼女はヒールの音を立てて、僕の横を通っていく。


館長室の扉を開いたところで、彼女は僕の方に振り返った。





「……だが、ちょっと前のお前は、私の言葉をすべて信じて生きていただろうな」




彼女は微笑む。




「お前はお前の正義を貫けばいい」




扉が閉まる音を聞きながら、僕はその場に膝を落とした。





僕の中であらゆる常識が。

僕の中での信念が。

僕のあらゆる世界が、音を立てて崩れ落ちた気がした。



僕の中の彼女という支柱が歪んでしまっていた。






「……やられた……っ」



僕は赤い絨毯を強く叩く。




彼女に踊らされていた。


何者にも負けない強さが欲しい。

誰の手の中でも転がされない力が。

僕自身で十分動ける力が。




僕は立ち上がると、奥歯をかみしめ歩き出す。