「館長、お呼びでしょうか」
クロローブを全身に纏ったいかにもな魔術師。
確かこの図書館の本の補修係だ。
フードが深くて顔は見えない。
「このノートを解析してくれ。効果が分かったら、報告書を出せ」
「はい」
彼女はノートを受け取ると軽くめくった。
そして、ページを止め見入る。
「いますね、彼女」
「一番思い入れのある作品らしいからな」
いる?
僕が不思議そうに見ていると、彼女は背を向けて館長室から出て行った。
「……いまのは?」
「魔法作成師の卵だ」
魔法作成師?
「何故……あのノートを?」
彼女は笑みを浮かべたまま、しばらく考えていたようだった。
「その昔、あのエロ作家の作品であいつは逮捕された事は知っているな」
「はい」
「確かに問題になる程度の表現だったが、逮捕のために私が動いたのはそのせいじゃない」

