女王様御用達。

沈黙する牢獄の中、一番最初に口を開いたのはデスト王子だった。

「弟も見つかったよ。森の奥で」

「……生きてますか?」

「ああ」


僕はほっと息をついた。

レースさんは手を汚さなかった。


「多分」

と、王子は変な一言を付け加えた。

「…多分?」

ポチの疑問に、彼は顔をゆがめた。


「あれが弟ならばな」

僕らは顔を見合わせる。




「……どういう意味ですか?」




彼は皮肉そうに笑った。




「誰か分からないくらいに体の皮は剥がされ、バケモノと間違えた兵士に数発撃たれ、血まみれで見つかってな。野太い声で一日中暴れ叫ぶんだ。……そこに元のあいつの面影はないよ」




ポチは口を押さえる。


「包帯に巻かれて、何を聞いても『ムシ』を連呼してな。悲鳴を上げて。実の母親さえ気味悪がって、病院の奥に入れてる。もちろん、シルルクの人間は、今選挙中の弟がそんなことになっているなんて知らない」



彼は首を振る。





「あの女が言っていた『バケモノにならないか?』はこういう事だったのかと今更考えているよ」





ウリム王子と僕は、人間として近い人間だったのではないかと思う。

絶対的な正義感を持っていて、他は受け入れがたくて。

お互い、自分の正義を追い求めた結果が、これなのか。


僕の置かれている状況、ウリム王子が置かれている状況。


やっぱり不幸でしかないじゃないか。


「ガキ?」


僕はばからしくなって、笑った。