女王様御用達。

縞々服にも慣れて、ポチとともに暇をもてあましていたある日。


珍しく騒がしい声が牢の外から聞こえてきた。


「王子、ここは王子様が来るような場所では!!」

「うるさい!!ここは俺様の城だ!!」

足をやられているため、松葉杖でふらふら歩いてくる。

前のただ派手な甲冑ではなく、金銀をあしらった王家らしい礼服。




僕たちの牢の前にやってきたのは、デスト王子だった。





僕らの目の前でタバコを出し、火を付ける。

「よ」

「「よ?」」

暇をもてあました僕たちは何となく釣られて挨拶をしてしまった。


「王子!!」

「あー、君。もういいから。オレ様置いて出てくれ。帰りたくなったら叫ぶから」

「ですが」

「出て行け。オレ様の言うことが聞けないのか?」



兵士はすごすご牢から出て行った。



「いやあ、もてなしが酷いよね。クロード君」


「それは嫌みか何かですか」


「嫌みじゃないって。オレ様、君の国の女王騎士のファンなんだから」



と、牢の中にあった僕の手を掴み、無理矢理握手する。


そして胸から何かを出す。


身構える僕たち。

豪華な服から出てきたのはマジックと色紙。


「え?」


深々と頭を下げ、ポチに手渡す。


「あの小説、すげえお世話になりました」



「はあ」



「デスト君へでお願いします」

デスト君?

凄い真剣なまなざしてお願いしてくる。

サインを書けと?

ポチは少し照れている。


「……俺、名前どう書こう……」

「定められた公文書以外でお前の本名書いたら犯罪だからな」


「「え」」


ポチもデスト王子も至極残念そうな表情を浮かべる。



「世を忍ぶ借りの名前でいいです。お願いします」


「ポチ・プードルになりますが……」


あー……王子は残念そうに頭を垂らし。


「お願いします」



と、そのまま頭を下げた。

本当にポチのファンらしい……。