女王様御用達。

彼は大きく剣を振りかぶる。


赤く染め上げたエプロンドレスを着たそれは、まるで舞台の上を舞うように距離を取って見せた。



「うふふふふ」




肩を震わせ、頭は垂らし、三つ編みはほどけ。

ケタケタケタ、彼女の姿は異様だった。




そして、ゆっくりと上げた顔。


まるで獲物を見つけたハイエナのように野生味にあふれ、飢えたものだった。



僕の知っている柔らかく笑うレースさんとは、似てもにつかない。


しかしその衣服は明らかにレースさんのものだった。



「何故だ!!お前は人間だ!!」




「『この国にバケモノがいて欲しい』」



彼女は乱れた髪を耳にかける。




「そう願ったのは、この国民の総意じゃないですか?」




「ふざけるな!!」



剣を彼女に振るが、彼女は消えてしまった。


森のざわめきさえも聞こえないその静寂に、王子は剣を振り続ける。




「そして、私を作り出したのも国なんですよ」




王子は出遅れた。

すでに彼女の手は彼の胴体を掴んでいた。




「!!」



「……つかまえた」



まるで、王子と対面し顔を赤らめた時のように。

それはそれは、至極うれしそうな声だった。