女王様御用達。

「もう、僕の中で物語は出来ているから。退場はこまるよ。兄様」


「……物語?」

「リュウズの何も知らない観光客2人が、バケモノをそそのかし、国境をこえようとする」


彼はふらふら剣を回す。


「兄様は、バケモノを倒そうとして返り討ちにされて、バケモノから殺されるんだから」


倒れた僕とデスト王子ごと、剣で斬りかかる。


「「…!!」」


僕らは思い思いに悲鳴を上げる。


「そして、観光客達もバケモノに裏切られて殺されるんだ」



「そこで勇者である僕の登場だ。あはははははは」


彼一人で盛り上がる。




「新たなバケモノ伝説を広めるよ。今までのバケモノ伝説は一切無かったことにしてね。この国の王政が滞りなく続くように」




そして彼は、剣を振り下ろした。



「それがこの国、国民の為だ!!」





剣はなかなか振り落ちてこない。

僕は目を見開くと、彼は振り下ろしたその姿勢のままだった。








「……で、私はどこで出ればいいんですか?」









細い手が強く握り、僕の首の前で止まっていた。

誰?

今話したの、誰?


僕の中で、理解を超えていた。

その声はあまりに知っていて。


でも、それはあまりにあり得ない光景で。

そしてそれは、ウリム王子も同様で。


剣を構え、僕に目標を定めたその姿勢のまま。


その顔のまま。




彼はその静止させた白い手に震えた。