『あれ?知らなかった??俺、中学のとき助っ人でたまにバスケの試合出てたんだぞ(笑)』


『うそ!?そんなの初耳だよ』


『そうか?まぁー仕方ない(笑)じゃあ、次は何やりたい?』

聡は私のご機嫌をとろうとしていた。何かちょっと二重に悔しかったのでバッティングセンターを指差した。


『愛、打てるのか(笑)』


『失礼な!!60キロなら当るもん。』


『60キロって(笑)』


『じゃあ、聡は何キロにするの?』


『俺?俺は‥135キロの変化球も含むやつ』


『打てるの?腰痛くして、明日の仕事に響かないといいけど』


『愛こそ、俺のスイング見て惚れ直すなよ』

聡は自信あるって顔をしている。もしかして、野球も助っ人で試合に出てたとか?ありえる‥私たちの学校、田舎だもんな‥


そんな事を思いながら、まずは私からバッティングをすることになった。
私の前に誰かがやっていたので後ろに並んで待っていた。すると、小さい子どもがヘルメットを被って私の後ろに並んだ。


『お父さん、僕、いつ打席に立てる?』


『そうだな。今やってるお兄さんが終わって、前にいるお姉さんが終わったら出来るぞ』


『え~、やだ。今すぐやりたい』


『そんな事いったって、順番があるんだから我がまま言わないの。』

お父さんが子どもを注意していると、打席に立っていたお兄さんがボックスから出てきた。私は入ろうか迷ったけど‥


『お姉さん、ちょっとトイレに行きたくなっちゃったから、先にやっていいよ。』

そういって譲ってあげた。


『すみません。ほら、お姉さんにお礼言いなさい』


『ありがとう。お姉ちゃん!!』

小さい子どもは嬉しそうに打席に立った。



それを一部始終見ていた聡が

『いいのか?』

って言いながら近づいてきた。