『‥何か、あったの?』


『何かって?別に何もないよ。』


『じゃあ‥』

『ごめん愛!!主任が呼んでるから行かないと。ごめんな』


ガチャ

電話が一方的に切られた。


『何なの?私には話せないことなの?』


少しずつ、聡に対して不信感が募っていった。こんな状態で‥どうやって信じろって言うのよ‥


この後、どうやって家に帰ったんだろう?
気がついたら家にいて、気がついたら夕飯を作ってて、気がついたら‥




はっ!!
私は起き上がった。いつの間にか疲れて寝ていたのだ。


『そうだ。聡は?』

食卓の上に置かれた夕飯は、昨日と変わっていなかった。


『聡?何処にいるの?』

私は少ない部屋の扉を次々に開けていったけど、聡の姿はどこにもなかった。それ以前に、聡が帰ってきた形跡すらなかった。



今の時刻は朝の4時を過ぎたところ。
いくらなんでもおかしいよ‥



私たちの記念日、クリスマスイヴ、今後の生活‥全てに不安を感じてきた。


『逢いたいよ‥逢って話がしたいよ‥聡』


私の思いは届かなかった。
電話はかかってくるもの、聡に逢ったのは5日後の記念日のほんの少しの時間だけだった。