そして迎えた5ヶ月記念日


『お父さん、今日は聡が家に来る日なんだから居間にちゃんといてね?』

相変わらずお父さんは返事をしてくれない。


『愛~、聡君って何時に来るの?』


『今日は13時って約束してるけど‥』

時計を見ると、12時50分。
あれ?いつもなら、もう電話が来てもいいのに‥

私は不安になったので、こっちから電話することにした。


『あっ、もしもし聡?いま何処にいるの?』


『ごめん!!いま清水さんの家なんだ。様態が急変して‥俺の担当じゃないんだけど、俺を孫みたいに思っててくれて‥それで俺の名前を連呼してるみたいで‥』


『じゃあ‥』


『ごめんな、連絡しなくて‥ちょっと忙しいからこれで電話切るけど、後でまた連絡する。じゃあな』


そう言って一方的に電話を切られた。

『ちょ、ちょっと!?』


プープープー‥

受話器からは、この音しか聞こえない‥


私は居間に行って無言でテレビをつけた。


『愛‥』


『聡、今日は来れないって。様態が急変した人の看病をしてるから‥だって。』


『そう。仕方ないわね』


『でも、連絡してくれたっていいじゃない!!』


『そんな子どもみたいなこと言わないの。仕事なんだから』


『でも~‥』

その時、お父さんは無言で立ち上がった。


『お、お父さんごめんね』


お父さんは振り向くことなく部屋に行ってしまった。
私は‥もう説得するのは無理なのかも‥なんて諦めかけていた。