『愛ちょっと‥』


『どうしたの?』


『愛のお父さんの部屋ってここ?』

聡は障子の扉を指差した。


『良く分かったね。そう、ここだよ』


すると‥

『愛のお父さん、お久しぶりです。お邪魔しています。これからカレー作りますので台所お借りします』

しっかり挨拶をしてから台所に立った。



『別にいいのに‥』


『そういう訳にはいかないよ。挨拶はしっかりやらないと』


『ごめんなさいね~お父さん、拗ねてて‥』


『いえ。』


『それよりお母さん、早く作ろう。私たちお昼食べてなくてお腹ペコペコだよ』


『まぁ~じゃあ、野菜切りましょうか』


夕飯の準備が始まった。

お母さんはサラダの担当で、私と聡はカレーを担当した。


『愛、今日は何処に連れて行ってもらったの?』

お母さんが聞いてきたので、今日の出来事を話した。他にも、昨日、桃花に逢ったことや近所の人の話とか和気藹々と話しながら調理をしていた。

思っていた以上に聡の包丁捌きが上手で、あっという間に終わり、後は煮込むだけになった。


『家の料理って、他の家とちょっと違うんだよね~楽しみにしてて。お母さん、隠し味そろそろ教えてよ』


『そうね。そろそろ教えてあげましょうか(笑)』


『何で笑ってるの?』


『それはね、そろそろ動く頃なのよ』



『『‥‥‥ん?』』

私と聡は首を横に傾けた。