「うん、台選びだね」
またもや阪本のけりが田中のけつをけり上げた。
「ちゃうわぼけが、パチンコ屋にいったらな、まずはあそこを洗うんじゃ。それが礼儀ってもんなんだ。パチンコって名前あるからわかるやろ、あそこやあそこ。これ以上は言わんでもわかるやろ。おまえ立ち入り禁止なるで、出禁になるところやで、勘弁してや。全く。店員聞きにくるぜ、その時答えられんかったら、終わりやで、周りにあいつくさ、くっさと思われるではずいなぁ、はずいわぁ」
「そ、そうなんだ。助かったよ。阪本君、あやゆく出禁とくっさと思われるところだったよ」
田中は感心していた。
「よし、それでは出発するか」
「うん」
二人はパチンコ屋に向かった。

「さあて、ついたで、さっそくトイレや」
「わかったよ、阪本君」
それから、数分後
「これで、OK。準備もOK、田中は」
阪本は田中のほうを見た。
「くっさくないよ、俺はくっさくない、くさくないんだよ」
「そうか、では、戦場に行こうか」
二人はトイレに出た。
「すごい音だよ、阪本君」
「まぁな、これは俺を歓迎している曲さ」
「そうなの、すごいよ、阪本君」
「まぁな、有名人はつらいぜ。それではまずどこに座るかだ」
阪本の顔が真剣な表情になった。
田中も思った。
はっ、この真剣な表情は、阪本モードに入ってるな。阪本君が真剣に考えているとき、この世界と意識を切って集中するんだ。これは期待できるぞ。
阪本は思っていた。
やべーよ、どうしたらいいんだ。分けわかんね。パチンコってあそこ洗っておわりじゃねーの、銭湯の簡易ばんか大人の遊び場と思っていたよ。違うくね、まずはもちつけではなく落ち着くんだ。俺阪本。気づかれずに、田中にパチンコ知らないんでは思わないようにしなくては、よしファイト。

「田中、この台に座るぞ」
「わかったよ。阪本君」
意気揚々に座った。そして阪本は周りを見まわした。
「どうしたらいいの阪本君」
「だまってろ、今集中してるんだ」
阪本は一人の男を見つけた。何々、あいつはお金を取り出して、ふんふん千円だな。なるほど投入口に入れると、おっ、そしたらコインが出てくるんだな。OK、OK。
「た、田中ー千円を出すんだ。それを俺によこせ」
「わかったよ。阪本君」