『僕がここに居る理由は、貴方を知る為なんです。』

タケルの話はこうだった。

タケルの両親は、2人共有名な医者で裕福な家庭で育った。

両親は厳しく、幼少時から与えられた環境・話し方・考え方を受け入れ、何も思わず、何も感じずに過ごしていた。

タケルは、両親の決めたアメリカの医大に進学するが。それは、タケルの人生に転機をもたらす事になった。

タケルが2年生の頃、ルームシュアしていた学友の話から始まる。

『俺、実は医者なんてなりたくないんだ』
タケルは、学友が唐突に何を言い出したのか判らなかった。
『なんだよそれ?』としか言い返せない。

学友は、自分には医者は向いていない。昔から絵描きになるのが夢だと、だから美大に編入すると話した。

医学部も2年生になると、プレシャーから退学する奴が増える事は、タケルも聞いて知っていが。この学友の成績はかなり優秀でプレシャーなんて無いはずだし、確か両親も、タケルの家と同じくらい有名な医者なのだ。

『いったい何故なんだ?』タケルは問いただした。

学友は『俺は、俺自身どこまで医学に対して情熱を捧げれるか、この2年間試してみた。だが絵を描く事への情熱は消えなかったんだよ。』と決意に満ち、なにより嬉しそうな顔で言った。


しかし、タケルには理解出来なかった。成績優秀で、将来を嘱望されてた奴だ。タケルは良きライバルの話が信じらずに、また『何故?』と呟いた。学友は続ける。


『では逆に聞くが、タケルは何故医者を目指してるんだ?』