『ならタケル。お前は何故、戦場に居る』

タケルは、男が生まれて初めて見る顔をした。それは、驚きと困惑と笑いを同時に表情に出したのだ。

男はカメラを構えたい衝動を耐えた。


タケルは曲芸の様な表情を止め、真面目な顔で話した。


『僕がここに居るのは…貴方を知りたくて、追い掛けて来たんです。』


タケルの真剣な顔を見ながら、男は返した。


『悪いが…俺はストレートだ』


タケルは一瞬なんの事だか飲み込めない様子だったが、次の瞬間に顔を赤くして

『そ、そうじゃなくて!僕は貴方に会う為に来たんですよ!』


男はさらに
『気持ちは嬉しいが、やはり…断る』っと、手を上げた。


タケルはジタンダを踏みながら更に『だから違いますって!僕は貴方の写真を見て、それで貴方の生き方や、どんな人かを…』


タケルは急に黙り込んで、細目で怒った口調をして言った。

『僕をカラかってませんか。』


男はタケルの問いへの仕返しが出来た事に、1人ほくそ笑んだ。


『悪かった。俺への熱い気持ちは伝わったよ。で何故だ?』


タケルはまだ恨めしそうな顔だったが、男が促す様にアゴを上げたので、渋々話し始めた。



『僕がここに居る理由は、貴方を知る為なんです。』