男はその後、各地の戦場に行き、最前線でカメラを構え続けた。


被写体に焦点を合せシャッターを切る。
その瞬間は、高揚感と、罪悪感が混じった気持ちになる。
しかし、英雄的な死も、無慈悲な死も等しく、稀薄な感情しか残らない。

男が求めるものではなかったからだ。


幾多の戦場で、幾多の死を撮っても、満たされない、渇きにも似た感覚。

男は自分自身に言い聞かせる様に言った

『死を撮る為…それだけでカメラを構えている。それが俺には自然な事だ…』


タケルは言った
『僕は…僕には分かりません。貴方が何を求めて居るのかが。確かに、ショッキングな出来事だと思いますが、それだけの事で命を賭けるなんて…何故なんですか?』


男には、タケルの問いが繰り返しで有ると分かっていたが、うまく言葉で答える事が出来なかった。

だが、男の『心』は強く。強く伝えていた


【死を撮れ・死を撮れ】


話を変える為に男は聞いた。

『ならタケル。お前は何故、戦場に(ココに)居る』