なぜ戦場カメラマンになったのか?。

世界に現実を知らせる為。否
金儲けの為。否
平和な世界を目指す為。否
貧困の子供を救う為。否

男にとって撮る事に大義名文は無かった。それが当たり前で、自然な事で、望みだったのだ。

男には弟子が居た。まあ男には弟子だとの認識は無く、ただの荷物運びくらいにしか思っていなかったのだが。
半ば無理やり押し掛けて来て、勝手に師匠扱いをしてくる変な奴だった。

変な奴の名は『タケル』日本人だ。
良く働くし、よく喋る。男が撮っている時は、ジッと観察して色々メモを取っている。

日本人は勤勉だと言われるが、まさに典型的な日本人だった。

時々は楽しく、時々はウットウしく、時々は足手まといだったが不思議と嫌な気分ではなかった。

さまざまな戦場を一緒に行動して、3年が過ぎた頃。タケルは初めての質問をしてきた。


『貴方は、何故戦場カメラマンになったのか?』

男はしばらく考えてから話し出した。



『死を撮る為に……』